GALLARY

*Seno Itsumi*
×
 さて、じゃあ俺も――と思ったところで、
 廊下の途中の開き戸が目に入る。
×啓人
「?」
×
 ぽつんとひとつだけその場にあるため、寮生の居室では
 ないことは明らかなんだが、記憶にも残っていない。
×
 何の気なしに扉を開けてみる――
×いつみ
「んー。あれ、ちょっときつくなっちゃったかな……?」
×いつみ
「うそぉぉ……そこまで食べてないと思うんだけどなぁ」
×啓人
「え、あ、わっ」
×
 なんということでしょう。
×
 むわりとした熱気の奥に、あられもない姿があった。
×
 見ちゃいけない。
×
 この状況を見続けていると、コンマ秒単位で俺の存在が
 社会的に死んでいく。だから見ちゃいけない。
×
 頭では分かっているのだが、本能の前では無力だ。
×いつみ
「あぁぁ、この前音杏とピザ食べたけど、それなの?
 それなのかぁぁ……?」
×いつみ
「うー。朝のトレーニング量、上げようかな……」
×小夏
「あれ? お兄ちゃんなにしてるのー?」
×いつみ
「ぇ? お兄ちゃ――」
×いつみ
「っ……!?」
×啓人
「あー。その、ええっと……」
×
 小夏の声に反応した瀬能さんがこちらを見る。
×
 そして途端に、目を大きく見開いた。
 当たり前だ。
×啓人
「あ、これは、だから……おはよう」
×いつみ
「お、おは、よ」
×
 なんとかして言葉を発すると、ぶるんと全身を身震いさせる。
×
 そのはずみで、胸元の凶悪なふくらみがたゆんと揺れた。
×啓人
「っ……!!」
×
 無理だ! 見ないとか無理!