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部室の床に、文芸部のホープが倒れていた。
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床に広がる長い黒髪、床に押しつけられた白い肌。
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華奢な体躯の上には、アリス会長の相棒・ケルベロスが乗っている。
- 真優
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「どういう状況?」
- 一悟
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「そ、そうだな……想像するに……」
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遊んでいる、のだろうか?
- 千奈
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「ケルちゃん、ストップです、さ、さすがにはしゃぎすぎ、
です、からぁっ……!」
- ケルベロス
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「わふっ……わぅん?」
- 千奈
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「い、いえ、じゃれてくれるのは嬉しいんです、
とても嬉しいんですけどっ」
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さすがに振り落とすようなことはできないのか、
ナタリーはもぞもぞと身をよじっているだけだ。
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その揺れさえケルベロスは面白がっているようで、
尻尾をぶんぶん振っている。
- 一悟
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「ナタリー、大丈夫か?」
- 千奈
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「ふぁっ!?」
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声をかけた瞬間、ナタリーが弾かれたように俺を見上げた。
- 千奈
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「みゃ、みゃー先輩に十川先輩!?」
- 真優
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「おはよう、千奈。いい格好だね」
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俺の横で、真優はにやにや笑いを浮かべている。
- 一悟
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「あ……」
- 千奈
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「なっ――!?」
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俺とナタリーが、真優の言葉の真意に気付いたのは同時だった。
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ケルベロスがじゃれついていたせいで、ナタリーの
スカートが大きく捲れてしまっている。
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スラっとしたふくらはぎ、太もも……そして、足の付け根。
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そこまで見えていれば、当然あの布地も見えているわけで。