【みこと】
「おっっはよ~~~~っカ~ズく~~~~~~んっっ!」
【和哉】
「うわっ!?」
家宅捜索よろしく扉を蹴破り、嵐のような絶叫と共に部屋へやってきたのは――
【みこと】
「あっ、カズくんちゃんと起きられたんだぁ! えらいっ! お姉ちゃんがいいこいいこしてあげるよ~~っ!!」
【和哉】
「ぐあ……みこと姉ちゃん、や、やめ……」
【みこと】
「うへへへへ、照れちゃって~~! そんなカズくんもかわいいよぉ」
ぐりんぐりんと俺の頭をなでているのは、姉双子の一人――倉野家次女の倉野みことだ。
体育会系の本領発揮と言うべきテンションの高さに、寝起きの俺にはなすすべがない。
【みこと】
「えへへえへへ、朝のふにゃふにゃしてるカズくんはかわいいね~」
『ふにゃふにゃ』というのがよく分からないが、寝起きの頭を前後左右に揺すられているせいで、再び意識を手放しそうになっていることは確かだ。
……危険な意味で。
【みこと】
「とか言って、こっちの方はカッチカチだったりして~?」
【和哉】
「ッッ!?」
ニヤリと笑ったみこと姉ちゃんが、いきなり太ももをなでてきた。
【みこと】
「ほ~れ、ほ~れ、どうなのかなぁ~?」
そのままジリジリと、朝テントの元へ、しなやかな指が這い上がってくる。
【和哉】
「ね、姉ちゃんっ! そこは……!」
【みこと】
「うへへへへ、可愛い声出しちゃってぇ~! もしかして、オトコノコがおっきくなっちゃってるのかなぁ?」